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インターネット上で実名報道された過去の逮捕報道・記事・投稿は削除することができるのか?

2024-08-27
削除・開示請求

犯罪報道(例:逮捕報道、前科歴など)がインターネット上で一旦なされると、X(旧Twitter)などのSNSや5chなどの匿名掲示板などで、拡散されてしまい、数年が経過しても過去の記事や投稿が残されたまま、ということがあります。

このような場合、自身の氏名をインターネットで検索すると、「逮捕 氏名」など過去の履歴が判明してしまい、就職が難航してしまうなどの不利益が生じてしまいます。

そのため、自らが犯した犯罪に関する記事・投稿を削除したいと考えるのが通常ですが、こうした削除請求は可能なのでしょうか。

ここでは、こうした削除請求に関する一般論を解説致します。

目次

【POINT】

✓逮捕された事実は、プライバシーに属する事実

✓逮捕報道・記事・投稿は、逮捕事実を公表されない法的利益と記事等を公開する理由等を比較考量して削除請求を認めるかどうかが判断される。

1 削除を請求することができる法律上の根拠とは

逮捕されたという逮捕報道は、「他人にみだりに知られたくない」「プライバシーに属する事実である」とされています(最二小判令4年6月2日民集76巻5号1170頁参照)。

プライバシーについては、「個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきであり、このような人格的価値を侵害された者は、人格権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができるものと解される(最三小決平29年1月31日民集71巻1号63頁参照)。最二小判令4年6月2日民集76巻5号1170頁を引用」とされています。

そのため、削除を請求することができる法律上の根拠とは、一般的にはプライバシー侵害を理由とした人格権に基づく請求権となります。

2 削除請求が認められるかどうかの目安

もっとも、逮捕された事実は公共の利害に関する事項であることから、これが報道等されることには一定の公益性があるのも事実です。

そのため、削除請求をすれば一律に削除されるようなものではありません。

逮捕事実を公表されない法的利益と記事等を公開する理由等を比較考量して削除請求を認めるかどうかを判断するものとされています。

具体的には、ⅰ逮捕された人物が公人か私人か(公人の方が削除はされにくいです)、ⅱ逮捕された事実の内容(犯罪の軽重:軽微犯罪であれば削除はされやすく、その逆であれば削除されにくい傾向)、ⅲ事件が発生してからの時の経過の長短(事件が発生してからの間もない時期の削除は認められないものと予想されます)、ⅳ結果(起訴・不起訴等)などの諸事情を考慮して判断されるものとなります。

この点ついて、Twitter(現X)で逮捕事実に関するツイートの削除の可否が問題となった裁判例において、(逮捕)「事実の性質及び内容、本件各ツイートによって本件事実が伝達される範囲と上告人が被る具体的被害の程度、上告人の社会的地位や影響力、本件各ツイートの目的や意義、本件各ツイートがされた時の社会的状況とその後の変化など、上告人の本件事実を公表されない法的利益と本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、上告人の本件事実を公表されない法的利益が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越する場合には、本件各ツイートの削除を求めることができるものと解するのが相当である。」(最二小判令4年6月2日民集76巻5号1170頁)という判示があります。

3 削除を請求することができるのは誰か

削除請求をすることができるのは、犯罪に関する記事・投稿によりプライバシーが侵害されている本人となります。

もっとも、ご本人ではどのようにやってよいかが分からないときには、弁護士に依頼することで、その弁護士が代理人として削除請求をすることができます。

4 削除請求の手続

削除請求を行う方法には、一般的に、①裁判を起こさずに任意の削除を求める方法と②裁判(仮処分手続)を起こして削除を求める方法とがあります。

逮捕報道に関する削除を認めてよいかどうかは、公共の利害に関する事項であり前述の諸事情を考慮する必要があることから、コンテンツプロバイダ等が任意に削除の可否を判断することが難しい面もあります。

そこで、②での削除を求めることが多い印象です。

5 裁判上の削除請求は弁護士に依頼すべき

前項の手続のうち、①裁判を起こさずに任意の削除を求める方法(例:所定の問い合わせフォームから削除請求を行う。)であれば弁護士に依頼するまでもないともいえますが、逮捕報道に関する削除請求では、②裁判(仮処分手続)を起こして削除を求める方法による必要性がある場合が多い印象です。

この方法については、裁判である以上、本人において対応することが困難であり、弁護士に依頼する必要性が高いといえます。

逮捕報道に関する削除請求については、一律の案内が難しいことから、削除請求をご検討の方はまずは「お問合せフォーム」からのご相談予約をお願いいたします。

法律相談を実施後、具体的な流れや見通し等をご案内いたします。

以上

著者情報

大澤 一雄

弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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