マンションを購入し区分所有者になると、管理規約に基づいて、月々管理費・修繕積立金・組合費等(以下「管理費」といいます。)を支払う必要があります。
この管理費について、滞納をしてしまう区分所有者がいますが、どのようにして回収をすればよいでしょうか?
マンション管理における管理費の回収方法について解説をします。
目次
1 管理費の滞納が生じたときの対応方法
管理費の滞納が生じた場合には、管理会社または管理組合にて督促をするのが一般的です。
もっとも、督促にもかかわらず、支払ったもらえないときには、①弁護士名義での督促→②訴訟→③強制執行、といったように段階を踏んでいく必要があります。
2 訴訟で請求できる項目
管理費の支払いを求める訴訟において、滞納者に請求できる項目として、ⅰ「未払管理費」が挙げられるのは当然です。
これに加えて、管理規約に「違約金としての弁護士費用を請求できる」「未払金額について年利14.6%の延滞損害金を請求できる」などの定めがあるときには、ⅱ「弁護士費用相当額」とⅲ「遅延損害金」を請求できることとなります。
「弁護士費用相当額」とは、訴訟にかかる弁護士費用で、着手金や見込み報酬が想定されます。
「遅延損害金」とは、未払管理費に所定の利率を乗じたものです。
3 訴訟において将来の管理費は請求できるか
それでは、ⅳ「将来の管理費」も訴訟で請求できるでしょうか。
仮に判決において、ある月までの管理費が認められた場合(例:令和8年7月末日までの未払管理費50万円を支払え。)、将来分については支払いを命じられていないこととなります。
そのため、将来未払いを起こしたときに再度訴訟を起こす必要が生じてしまいます、そこで、「将来の管理費」を求めるニーズが生じてきます。
将来請求については、「あらかじめその請求をする必要がある場合に限り」(民事訴訟法135条)、これを行うことができるとされています。
将来請求が認められるのは例外的となりますが、滞納状況(例:何ヶ月分の滞納か)、相手の態度(例:未払いについて真摯に対応しているか)等を考慮して個別に判断されます。
個別判断ですので請求すれば必ず認められるものではないのですが、上記コストを考慮すれば、可能な限り将来請求を行った方がよいという結論となります(当事務所でも将来請求が認められた判決を取得しています。)。
将来請求を求める場合の請求の趣旨としては、「被告は、原告に対し、令和8年8月1日から被告がAマンションの区分所有権を喪失するまでの間、毎月末日限り、1か月3万円の割合による金員及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え」などとすることが考えられます。
4 強制執行
判決が確定したときには、例えば以下を候補とした強制執行が検討されることとなります。
・区分所有権
・預金債権
・マンションを貸しているのであれば賃料債権
なお、将来請求が認められていても、強制執行で求めることのできる請求権は申立時点で期限の到来している未払金に限られます(民事執行法30条)。
5 区分所有法8条
滞納管理費は、区分所有権の特定承継人(例:買主)に対して請求することもできます。
そのため、完済される前にマンションが売却されたときには、買主に請求することも考えられます。
6 弁護士費用
概ね次の費用感で対応しておりますが、詳細はお問い合わせ下さい。
訴訟について100万円以内の未納は着手金11万円(税込)、それ以上については11万円~、報酬は経済的利益の17.6%(税込)。

