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抵当権抹消登記手続とは:相続により取得した不動産について抵当権が抹消されないまま残っていた場合や抵当権者である法人が解散していた場合等の対応方法

2025-02-07
不動産

相続などにより取得した土地・建物を売却しようとした場合に、抵当権が設定されたままとなっていることに気づくことがあります。

こうした場合には、住宅ローンなどの被担保債権が完済されているものの、何らかの事情によって抵当権が抹消されないままとなっていることがあります。

ここでは、抵当権を抹消する方法について、概略を説明します。

目次

1 抵当権とは

抵当権とは、住宅ローンなどの借入れを行うときに、借主が所有する土地や建物に債権者が設定する権利のことです。

この権利を設定することで、他の債権者に優先して債権の回収を実現することが可能となります。

不動産(土地や建物)の登記記録は表題部と権利部に区分されていますが、このうち権利部は甲区と乙区に区分されています。

甲区には所有権に関する事項が、乙区には所有権以外の権利に関する事項がそれぞれ記録されています。

抵当権は所有権ではありませんので、乙区において、「原因:令和7年1月7日保証委託契約に基づく求償債権同年2月7日設定、債権額:5000万円、損害金:年10%、債務者:A、抵当権者:B」などと記録されます。

登記記録の内容は不動産の登記事項証明書を取得することで確認できます。

登記事項証明書とは、法務局に登記された内容を証明するものです。

主な取得方法として、法務局の窓口で申請して取得する方法、オンライン申請で取得する方法があります

2 抵当権抹消登記手続請求が問題となるのはどのような場合か

では、このような抵当権について、冒頭の設例のように、抵当権の抹消ができるにもかかわらず、抵当権が設定されたままになっている事情としては、どのようなものがあるでしょうか。

例えば、次のような事情が考えられます。

  • 住宅ローンを完済した際に金融機関から抵当権抹消に必要な書類を交付されたにもかかわらず、不動産所有者が、面倒・費用が発生するなどの理由により抹消登記手続をしなかったとき
  • 住宅ローンを完済した頃、抵当権者である法人が解散するなどしたため、抵当権が設定されたままとなっているとき

抵当権の設定をした不動産所有者であれば、なぜ抵当権の抹消手続をしていないのかは分かりますが、相続が発生したときには、抹消手続をしていない理由については推測をするほかありません。

3 抵当権が残っていることのデメリット

それでは、被担保債権が完済されたにもかかわらず、抵当権が設定されたままとなっているときには、どのようなデメリットがあるでしょうか。

例えば、抵当権を抹消しないと、次のようなデメリットがあります。

  • 不動産売却が困難
  • 不動産売却ができたとしても、売却価格が低くなってしまう
  • 不動産を担保とする融資が困難

抵当権の登記がある場合、被担保債権の支払がなされなければ強制競売により強制的に売却されてしまうリスクがあると、事情を知らない第三者は考えます。

また、金融機関から融資を受けようとしても、新たに融資をする金融機関からすると、第二順位の抵当権であり、融資回収の実効性に疑問があると考えます。

そのため、所有者が被担保債権は完済済みだと説明しても、抵当権の抹消をしないと、こうした大きなリスクから通常の取引が難しくなってしまうのです。

そこで、抵当権を抹消したいという動機が生じます。

4 抵当権の抹消登記手続はどのように行うのか:抵当権者が法人の場合

抵当権の抹消登記手続は、抵当権者と不動産所有者が共同で申請を行います。

具体的には、住宅ローンなどの債務の完済により、抵当権者から必要な書類の交付を受けて、不動産所有者において司法書士を通じて抵当権の抹消登記手続を行うことが多いと思われます。

もっとも、抵当権を抹消したいと考えたときに、法人が合併・解散しているなどの理由で、法人からの協力が得られないこともあります。

こうしたときには、不動産所有者が単独で抵当権の抹消登記手続を行うために、抵当権抹消登記手続を求める旨の裁判(例:完済を原因とする抹消登記手続)を裁判所に提起し、勝訴判決に基づいて抵当権の抹消を実現していくこととなります。

なお、法人が消滅しているようなときには、訴状などの裁判書類を受領する方がいないことから、特別代理人を選任することで、訴訟手続を進めていくこととなります。

5 抵当権の抹消登記手続はどのように行うのか:抵当権者が個人の場合

抵当権者となることのできる者は金融機関に限らず、個人であっても可能であることから、抵当権者として個人が登記されていることもあります。

法人におけるのと同様、抵当権を抹消するためには、抵当権者の協力の下、抹消手続を進めるのが原則です。

個人である抵当権者について相続が発生していることがあります。抵当権の設定時期が古ければ古いほど、こうしたリスクが高まります。

相続が発生している以上、もともとの抵当権者の協力を得ることができませんので、相続人の協力を得て進めることとなります。

もっとも、相続が数次に及んでいるなど相続人が多数かつ全国に及んでいることもあり、全員の協力を得ることが難しいケースも想定できます。

結論として、当該ケースでは、不動産所有者単独で抵当権の抹消登記手続を行うために、相続人全員に対して、抵当権抹消登記手続を求める旨の裁判(例:消滅時効を原因とする抹消登記手続)を裁判所に提起し、勝訴判決に基づいて抵当権の抹消を実現することとなります。

6 まとめ

抵当権の抹消についてのお問い合わせの多くは、抵当権者の協力が得られない、誰に連絡してよいのかが分からないなどというものです。

こうしたときには、相続人の調査など多くの労力を要することとなることから、独力で行うのは難しいケースである可能性が高いです。

まずは弁護士に相談されることをお勧めしています。

著者情報

大澤 一雄

弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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