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外国人同士の日本での裁判離婚

2026-01-17
離婚・男女関係

日本に居住する外国人同士の夫婦が不和となり夫婦関係を解消したいと思ったものの、音信不通など何らかの事情により相手の協力が得られないときには、日本の家庭裁判所を利用することで離婚を実現することが考えられます。

もっとも、日本国籍を有しないことから、日本の家庭裁判所を利用することができるのか?などの疑問が生じます。

ここでは、外国人同士の日本での裁判離婚について概略を解説します。

目次

1 ポイント

日本に居住する外国人同士の夫婦が離婚について日本の家庭裁判所を利用したいと考えたときには、主に次の事項が問題となります。

  • 日本の裁判所を利用できるのか:国際裁判管轄
  • どの国の法律が適用されるのか:準拠法

それぞれについて解説をします。

2 国際裁判管轄:日本の裁判所を利用できるのか

外国人同士の夫婦が離婚について日本の裁判所を利用できるのかという問題は、専門用語でいえば「国際裁判管轄」の問題となります。

日本の裁判所における離婚手続は、①離婚調停(話し合いにより離婚問題を解決する手続です。)と②離婚訴訟(裁判官が離婚問題について判断をする手続です。)があります。

(1)離婚調停

離婚調停の国際裁判管轄については、「家事事件手続法」が定めています。

これによれば、日本の裁判所を利用することができる場合とは、次のような場合です。

  1. 調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき
  2. 相手方の住所が日本国内にあるとき
  3. 当事者が日本の裁判所で調停を行う旨の合意をしたとき

    例えば、夫婦ともに日本に住んでいれば2により、日本の裁判所を利用することができます。

    【注意点】離婚調停は話し合いにより離婚するかどうかを合意する手続です。そのため、外国法において協議離婚が認められていない場合には、離婚調停という枠組みでは母国において離婚として認められない可能性がありますので、この点の確認が必要となります。

    (2)離婚訴訟

    離婚訴訟の国際裁判管轄については、「人事訴訟法」第3条の2が定めています。

    これによれば、日本の裁判所を利用することができる場合とは、例えば、次のような場合です。

    1. 被告となる相手の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本にあるとき
    2. 夫婦双方が日本の国籍を有するとき(5号)
    3. 原告の住所が日本にあり、かつ、夫婦双方の最後の共通住所地が日本にあるとき(6号)
    4. 原告の住所が日本にあり、かつ、被告が行方不明であるときその他日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき(7号)

    これらを見れば明らかですが、離婚訴訟を提起する原告の住所が日本にあるだけでは日本の裁判所の利用を認めず、要件が付加されていることに注意が必要です(6号、7号)。

    3 どの国の法律が適用されるのか:準拠法

    日本の裁判所を利用することができるとして、次にどの国の法律に基づいて離婚の可否が判断されるのか、という問題があります。

    これは、「法の適用に関する通則法」第27条・第25条が定めています。

    これによれば、次の順に整理されています(ただし、夫婦の一方が日本に居住する日本人であるときには日本法が準拠法となります:第27条ただし書)。

    1. 夫婦の本国法が同一である場合【共通本国法が準拠法】:例えば、中国人同士の夫婦間において離婚が問題となるときは、中国法が準拠法となります
    2. 夫婦の本国法が同一でない場合【夫婦の同一常居所地法】:例えば、ともに日本に居住する米国人と中国人の夫婦間において離婚が問題となるときは、日本法が準拠法となります。
    3. 上記2に該当しない場合【夫婦に最も密接な関係がある地の法

    離婚そのものの準拠法はこのようなものですが、離婚に関連する養育費の準拠法は「扶養義務の準拠法に関する法律」が定めるなど個別の項目に沿って準拠法を確認する必要があります。

    【注意点】準拠法が外国法となった場合には、離婚を求める側において外国法を説明する必要があります。具体的には、外国法の根拠条文を示すとともに、その和訳を付すことが必要となります。中国民法などは和訳されたものがあり、それほど困らないのですが、和訳された書籍等がないときには、外国法弁護士の協力が必要な場合も考えられます。

    4 外国送達を伴う場合

    冒頭のタイトルから離れてしまいますが、離婚訴訟を提起する場合において、被告が外国に居住しているような場合には、次のような特別な配慮が必要となることがあります。

    • 訴状送達に長期間を要する可能性があること:離婚訴訟を起こすと、裁判所から被告に対して訴状等の書類が郵送されます。このとき特別送達という形式をとるため、外国に送るには非常に多くの時間がかかる可能性があります
    • 訳文提出が求められる可能性があること:被告が日本語で書かれた訴状等の意味が分からない場合には適切な対応が見込めないとして、被告の権利保護の見地から、その母国語での訳文提出が求められる可能性があります

    5 まとめ

    外国人同士の離婚では、検討事項が多岐に及びます。

    当事務所では、まずはご事情をお聞かせいただいたのち、お引き受けできるかどうかを検討させていただいたうえで、受任の可否をお伝えしております。

    なお、過去に取り扱ったことのある国は、米国、中国、韓国、フィリピンとなります(ただし、外国語には十分通じておりませんので、この点は予めご了承下さい)。

    著者情報

    大澤 一雄

    弁護士
    大澤 一雄

    上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

    2022年に大澤法律事務所開設。

    趣味は水泳。

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