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離婚調停を申し立てられたときの対応等について:弁護士に依頼すべき場合

2024-05-31
離婚・男女関係

夫婦間での離婚に関する話し合いがつかず別居となったところ、配偶者から離婚調停を起こされることがあります。

この場合、裁判所から離婚調停の申立書が郵便で届くこととなりますが、受け手としては、「裁判所」「離婚調停」は未経験であり、困惑してしまい、どのように対処すべきか気が動転してしまうのが通常ではないかと思います。

とくに、裁判所から届く書類には第1回調停期日のお知らせが同封されているとともに、答弁書等の書式が同封されており、どうすればよいのかが分からないと思います。

ここでは、離婚調停を申し立てられたときの対応方法等について解説します。

目次

1. 家庭裁判所における離婚調停(夫婦関係等調整調停)とは

家庭裁判所における離婚調停とは、家事調停委員(男女各1名の合計2名)を通じて、離婚に関する話し合いを行っていく手続です。

調停期日では、家事調停委員が双方から事情を聴きながら手続きを進めます。

具体的には、まず調停員が申立人側から事情を聴き、次いで申立人側から聞いた事情をもとに相手方側から事情を聴き、順次これを繰り返していくといった具合です。

平日の日中に行われ、1回の期日は2時間程度となります。

調停では、できるだけ双方が直接会うことがないように配慮されています。

調停での話し合いの結果、離婚に関する合意が成立したときには、調停成立となります。

なお、離婚調停を起こすことなく、はじめから離婚訴訟を起こしたときには、離婚調停を行うことが適当でない場合以外は調停に付されることとなりますので、基本的にはまずは離婚調停を行うことが法律上求められています(調停前置主義)。

そのため、夫婦間において離婚の意思がない旨を配偶者に伝えていたとしても、離婚調停が申し立てられるのが通常です。

2. 離婚調停を申し立てられたときに考えること

(1)離婚をする意思があるかどうか

配偶者から離婚調停を申し立てられたときには、裁判所から離婚調停の申立書(正式には「夫婦関係等調整調停申立書」)等一式が送られてきます。

この申立書のひな形は東京家庭裁判所のHPからダウンロードできるため、この書式を利用した申立てが多いといえます。

この申立書の「申立ての趣旨」欄(=配偶者の希望です。)を見ると、「申立人と相手方は離婚する。」にチェックが付されていることが多いです。

このほか「申立ての趣旨」欄には、「(付随申立て)」として、①(未成年の子どもがいるときには)親権者に関する希望、②養育費の希望、③財産分与の希望などが記載されていることもあります。

もっとも、付随申立てについては、離婚をすることが前提となりますので、離婚調停の申立を受けたときには、まずは離婚をする意思があるかどうか、を考えることが重要です。

仮に離婚をする意思がある/条件次第では離婚をしてもよいというときには、付随申立てについても検討を行っていく必要があります。

(2)第1回調停期日への出席について

裁判所から送られてくる書類の中には、第1回調停期日の日時に関するお知らせも同封されていますので、指定された日時で出席することができるかどうかを確認することとなります。

調停は平日に実施されることから、仕事があり休みを取ることが難しい等の事情があるときには、早めに裁判所に連絡を入れることが大切です。

裁判所の判断にはなりますが、初回期日を変更する或いは第1回期日は申立人側からのみ事情を聞き、第2回目以降は相手方からも事情を聞くなどの対応が考えられます。

ここで、例えば、正当な理由なく調停を欠席したときには、裁判所が5万円以下の過料に処することがあるといった制度があります(家事事件手続法51条3項)。

調停はあくまで話し合いの手続であり、これに出席すること自体に不利益はなく、また、配偶者の主張を聞く機会にもなるため、できる限り出席されることをお勧めしています。

一方当事者の欠席が続いたときには、調停は不成立となります。

(3)答弁書等の提出準備

第1回調停期日までの間に、答弁書等を提出することも可能です。

この答弁書には、離婚をする/しないの意見のほか、付随事項(子どもの親権、養育費及び財産分与等)についての意見を記載することとなります。

また、事前に提出したい資料があれば、そのコピーを提出することも可能です。

資料は配偶者も目にすることになりますので、知られたくない事項があればマスキングをするなどの対応が必要です。

どうしても見られたくない書類を提出するときには、提出の際に「非開示の希望に関する申出書」を添付する方法があります。

他方で、答弁書の書き方が分からない、文章にまとめたのでは膨大な分量となってしまうなどの事情があるときには、答弁書等を提出せずに、調停期日当日に口頭で話をすることでも構いません。

3. 婚姻費用分担請求調停が同時に申立てられている場合

離婚調停が申し立てられる場合、申立人の収入が相手方よりも低いとき等には、同時に、婚姻費用分担請求調停が申立てられることが多いものといえます

婚姻費用とは、例えば別居をしている夫婦において、収入の少ない妻が夫に対して求めることのできる生活費であり、これを調停で求めているものとなります。

婚姻費用について調停での話し合いが成立しない場合(一方当事者が調停に出席しないため話し合いができない場合も含みます。)には、婚姻費用分担調停は不成立として終了するとともに、自動的に、婚姻費用分担の審判手続に移行することとなります。

この審判手続とは、裁判官が、当事者双方から聴取した内容、提出資料等種々の資料に基づいて、婚姻費用について決定する手続です。

すなわち、審判手続では、必要な審理を実施した上、裁判所により婚姻費用の具体的金額が示されますので、調停が不成立となったとしても、一方当事者の同意を得ることなく、婚姻費用の金額が定まることとなります

例えば、「相手方は、申立人に対し、令和6年5月から離婚又は別居解消に至るまで、毎月末日限り6万円を支払え。」という審判が下されることが考えられます。

このように、離婚調停と婚姻費用分担請求調停とが同時に申し立てられているような場合には、婚姻費用については最終的に裁判所によって金額が決められてしまうことから、調停に出席しないという選択肢はお勧めできないこととなります

4. 離婚調停を申し立てられた場合、弁護士に依頼すべきか

調停は、あくまで話し合いの手続きですので、弁護士の関与が必須という手続でありません。

例えば、未成年の子どもがおらず、特段の財産もないといった状況において、離婚をしてもよいと考えているのであれば、弁護士を依頼する必要性は高くないといえます。

もっとも、留意していただきたいのは、家事調停委員は、当事者一方の味方ではなく、中立の立場のため、「法律上このような主張をした方がよい」などといった情報提供を積極的に行う立場にはありません。

そのため、離婚に関する話し合いの進み方や離婚条件が妥当なものかどうか分からないといったことも考えられます。

例えば、次のような場合には弁護士への依頼を検討されてもよいのではないかと考えております。

なお、依頼を行うことは考えていない場合であっても、法律相談という形で、調停の進め方についてアドバイスを得ておくことは重要です。

○裁判所で自分の意見を伝えるのが不安な場合

離婚調停では、1回あたり2時間程の時間制限の中(当事者別々に話を聞かれますので、意見を述べることのできる持ち時間は1時間程度となります。)、的確に意見を述べないと円滑に手続が進まない、意見を理解してもらえないといったことが生じてしまいます。

○提案されている条件が妥当であるのかを相談していきたい場合

弁護士へ依頼されないときには単独で調停委員と話をする必要があります(知人や親族の同席は認められていません。)。

そのため、相手方や裁判所から提示されている条件の妥当性、或いは提案する条件の内容等について全て自身で決定する必要があります。

弁護士へ依頼した場合には、こうした事項についても、ともに考えていくことで調停を進めることが可能です。

○不動産などの高額な財産がある場合

財産分与の議論が複雑なものとなる可能性があるため、弁護士への依頼を検討されてよい典型的な例であるといえます。

とくに、住宅ローンの残債があるときには、調整が難航する可能性があります。

○申立人に代理人が就いており有利な進行となってしまわないか懸念がある場合

申立人の代理人弁護士は、申立人の利益を最大限にするため、相場よりも大きな主張をするなどの活動を行う可能性があります。

本来応じるべきではない条件に応じないためにも、弁護士への依頼を検討してもよいといえます。

5. いつ弁護士に依頼するか

離婚調停を申し立てられた方からは、はじめから弁護士に依頼した方がよいか、という質問を受けることがあります。

結論としては、弁護士に依頼することを検討しているときには、はじめから依頼した方がよいといえます。

調停の手続が進行した状態では、調停の進み方の帰趨が事実上決定付けられていることがあり、途中からの弁護士の関与では取り戻せない場合があるためです。

また、個々の弁護士の判断において調停の途中からの依頼を受けていない場合もありますので、弁護士探しという意味でもお勧めはしていません。

6. よくある質問:離婚調停を申し立てられた側

これまでの内容と重複する部分もありますが、よくある質問をまとめました。

離婚調停とはどのようなものか?

夫婦間での任意の話し合いが難しい場合などに、家庭裁判所において、家事調停委員を介して、離婚に関する話し合いを進めていく方法です。

あくまで話し合いによる離婚が前提であり、話し合いがまとまらないときには、調停は不成立となります。

離婚調停の申立書が届いたときに最初に考えるべきことは?

離婚をするかどうか、まず自分の考えを決めることです。

申し立てられた側が離婚調停を欠席するとどうなる?

欠席が続くと離婚調停が不成立となり、離婚訴訟を提起される可能性が生じます。

また、婚姻費用分担請求調停が申立てられているときには、相手方の同意なしに、裁判所により婚姻費用額が決められてしまう可能性があります。

弁護士に依頼するタイミングは?

できる限り早い方がよいです。

離婚訴訟とは?

離婚調停を行ったものの、離婚に関する話し合いが決裂した場合に、家庭裁判所に対して、離婚を求める旨の請求を行う方法です。

離婚訴訟では、最終的には裁判官による離婚を認める/認めないといった判断が下されることとなります。

なお、離婚調停を経ることなく、当初から離婚訴訟を起こしたときには、離婚調停を行うことが適当でない場合以外は調停に付されることとなりますので、基本的にはまずは離婚調停を行うこととなります(調停前置主義)。

7. 当事務所の関わり方

当事務所では、調停を申し立てる側/離婚調停を申し立てられた側の代理人として活動するほか、ご自身で調停を進めることを前提に継続的にアドバイスを行っていくことも可能です。

詳細は、直接お問い合わせください。

執筆者

大澤 一雄 弁護士の顔写真

弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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