自己破産を行った履歴のある方がやむを得ない事情により、再度自己破産を検討せざるを得ない場合があります。
このとき過去に行った自己破産がいつであるかを調べる必要があります。
ここでは、「自分の自己破産の履歴を調べる方法」について解説します。
目次
1 過去の自己破産履歴を確認する理由
なぜ再度の自己破産を行うにあたり過去の自己破産履歴を調べる必要があるのでしょうか。
これは、前回の破産を行った日次第では、破産法上、再度の自己破産が免責不許可事由に該当する可能性があるためです。
破産法252条10号イでは次のように定められています。
(破産法条文:抜粋)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
つまり、前回の免責許可決定の確定の日から7年以内の破産申立ての場合には、免責不許可事由に該当することとなります。
そのため、管財人が選任される手続で進む可能性が高くなるなど破産手続の選択(例:同時廃止/管財型)に影響を及ぼすほか、裁量免責にも影響を与えることから、確認をする理由が生じます。
2 過去の自己破産履歴を調べる方法
過去の自己破産の履歴を調べる方法としては、例えば次のものがあります。
- 過去の免責許可決定書を確認する方法
- 官報で調べる方法
- 裁判所に対して免責許可決定確定証明申請を行う方法
なお、このほか民間会社の提供する有料のデータベースを契約のうえ利用する方法もありますが、金融機関などの法人向けであり、個人では利用できないことが多いものと思われますので、省略しています。
(1)過去の免責許可決定書を確認する方法
手元に過去の免責許可決定書があれば免責許可決定を受けた日の記載がありますので、これにより決定日を知ることができます。
細かな点をいうと、決定日と当該決定の確定日との間にはズレがありますので、正確な確定日については決定書では分かりません。
もっとも、決定日から概ね1か月程度で確定していることが多いですので、大まかな確定日については推測することができます。
(2)官報で調べる方法
自己破産をすると、官報(国が発行する広報誌のようなものです。)に氏名等の情報が掲載されます。
そこで、この官報を調べることで、過去の履歴を確認することができます。
官報については紙媒体で確認する方法がありますが、「官報情報検索サービス」というデータベースを利用して確認する方法もあります。
このデータベースについては自治体の図書館で利用できる場合がありますので、インターネットで調べることで利用できるかを知ることができます。
もっとも、この方法はお勧めできません。
以前はキーワード検索により簡易に確認することができたのですが、プライバシーへの配慮の観点から2025年3月頃から破産・免責など裁判所が公告する一定の内容についてはキーワード検索が不可となりました。
そのため、日々の官報の電子版を視認する必要がありますが、膨大な分量であるため現実的な選択肢ではないといえます。
(3)裁判所に対して免責許可決定確定証明申請を行う方法
破産手続を行った裁判所に対して免責許可決定確定証明申請を行う方法がお勧めです。
「免責許可決定確定証明」には免責許可決定の日及びその確定日の記載があります。
「免責許可決定確定証明申請」というキーワードで検索をすれば、裁判所のHPに行き着き、書式等が取得できますので、これにより申請・取得ができます。
なお、過去の破産手続の日から転居等が生じているときには、裁判所に保有されている住所と異なるため、現住所と過去の住所との繋がりを証明する資料(例:住民票や戸籍の附票)が求められることがあります。
3 まとめ
不本意ながら再度の破産を検討している場合には、前回がいつであったのかが重要な意味を持ちます。
そもそも破産ができるのかも含めて弁護士に相談することをお勧めします。