個人の債務整理の方法として自己破産を選択しようとする場合、まず気になるのがどの程度の費用が必要になるのかです。
自己破産を選択しようとする方は、月々の返済に追われており、一度に大きな金額を用意することが難しいため、この費用感は切実な問題です。
一般に債権者に対する弁護士の受任通知により督促が止まるとともに返済もストップすることから、破産に必要な費用を毎月積み立てることで、準備するのが通常です。
では、具体的にはどの程度の費用が必要になるのでしょうか。
ここでは、個人の破産手続を念頭に、必要な費用について概略を解説致します。
※この記事は2024年9月27日に改訂をしました。
1 はじめに
通常、借金問題に困っている個人の方から債務整理を依頼された場合には、債権者に受任通知を送付するかどうかについて検討をし、送付をします。
すると、受任通知に対する回答として、貸金業者から開示された取引履歴について利息制限法により引き直し計算を行った上で、債務の全体像を把握して、破産等の債務整理の方針を確定します。
その結果、破産を選択する場合において必要となる費用は、以下のとおりです。
2 破産手続に必要な費用とは
破産手続に必要な費用は、弁護士費用のほかに、裁判所等に納付する費用などがあります。
弁護士費用は事務所や案件(債権者数や個人であっても個人事業主であるか等)によっても異なるため、必要な弁護士費用を一般化して解説することができないため、ここでは弁護士費用を除く費用について紹介をします。
とくに、破産手続きが①同時廃止となるか②管財事件となるかにより、費用面に大きな差が生じます。
(1)同時廃止の場合
破産申立てを裁判所に行った際、①同時廃止として処理されるか、②管財事件として処理されるかが裁判所によって決定されることとなります。
このうち、①同時廃止とは、裁判所が破産手続を開始するのが相当であるという決定をしても、破産管財人を選任せずに直ちに破産手続を終了させる手続です。
東京地裁では、例えば、この決定(破産手続開始決定)をするときに、債務者が20万円を超える財産を有していないと認められる場合には、同時廃止となる可能性があります。
より簡単にいえば、管財人が選任されない手続類型であるといえます。
同時廃止となった場合には、管財人が選任されないため、管財手続費用の負担がなくなります。
この管財手続費用は最低20万円となっておりますので、同時廃止となるかどうかは費用負担の面からみると、大きな違いであるといえます。
具体的には、次の合計1万6859円が必要となります。
- ⅰ破産申立ての申立手数料1500円
- ⅱ破産に関係する書類を郵送するために必要となる郵便切手代3500円のほか
- ⅲ(破産すると官報に掲載されますが、そのための必要として)予納金1万1859円
(2)管財事件の場合
②管財事件とは、裁判所により管財人が選任される手続類型です。
例えば、免責不許可事由(例:パチンコ・ギャンブル・買い物依存などの浪費)がある場合において免責(借金を返済しなくてよいと裁判所が認めること)としてよいかを調査する必要があるときや債務者が20万円を超える財産を有していると認められるときなどが管財事件となる可能性があります。
管財事件となったときには、同時廃止におけるⅰからⅲまでの費用に加えて、ⅳ管財手続費用が必要となります。
管財手続費用とは、簡単に言えば管財人に対して支払う費用であり、「20万円~」となっています。
「~」とあるように、20万円以上の用意が必要なこともあります(詳細については直接お問合せください)。
20万円以上の用意が見込まれるときには、弁護士への積立計画をより丁寧に策定する必要があります。
(3)まとめ
弁護士が代理人として個人の自己破産手続を行うために必要な費用(弁護士費用を除く。)をまとめると次のとおりとなります。
項 目 | 金 額 | |
ⅰ(同時廃止+管財事件) | 申立手数料 | 1500円 |
ⅱ(同時廃止+管財事件) | 郵便切手代 | 3500円 |
ⅲ(同時廃止+管財事件) | 予納金(官報公告費用) | 1万1859円 |
ⅳ(管財事件のみに必要) | 管財手続費用(管財人に支払う費用) | 20万円~ |
3 まずはご相談を
以上のような費用が必要となりますが、弁護士費用を含めると、とくに管財事件となる場合には、破産を検討している方にとって軽い負担ではないことが分かると思います。
当事務所では、破産に関しては、弁護士費用の分割払等のご相談にも応じていますので、まずはご相談ください。
破産により、用意しなければならない費用額以上の経済的メリットがある場合が多いです。