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離婚調停において婚姻費用を併せて申し立てた場合のよくある流れ

2024-11-16
離婚・男女関係

夫婦間での話し合いにより離婚協議が整わない場合には、家庭裁判所に対して、離婚調停を申し立てるのが通常です。

このとき、夫婦が別居しているときには、離婚をしたいという要望のほかに、婚姻費用を請求することが多いといえます。

ここでは、離婚調停と婚姻費用調停とを同時に申し立てた場合のよくある流れについて概要を解説します。

なお、離婚調停においては、親権、面会交流、養育費、財産分与等も問題となりますが、これらの点については省略をしています。

目次

1 離婚調停とはなにか

離婚調停とは、夫婦間での任意の話し合いが難しい場合などに、家庭裁判所において、家事調停委員を介して、離婚に関する話し合いを進めていく方法です。

あくまで話し合いによる離婚が前提であり、話し合いがまとまらないときには、調停は不成立となります。

なお、家庭裁判所に対して、離婚を求める旨の請求を行う離婚訴訟もありますが、調停前置主義といって、順序としては、まず離婚調停を行うこととなります。

2 婚姻費用とはなにか

婚姻費用とは、婚姻共同生活を営む上で必要な一切の費用のことをいいます。

例えば、別居をしている夫婦において、収入の少ない妻は夫に対して婚姻費用の支払を調停により求めることができます。

婚姻費用と似たものとして養育費があります。

婚姻費用には、子どもの生活費等のほか、配偶者の生活費等も含まれている点で養育費と異なり、その具体的金額は、養育費と比較すると、配偶者の分だけ多いものとなります。婚姻費用は婚姻期間中のもの(離婚または同居を再開するまでのもの)であるのに対し、養育費は離婚後のものといえます。

3 実際のよくある流れ

離婚調停を申し立てる際に、婚姻費用調停を併せて申し立てることがあります。

これにより、同一の日時に、2つの調停が併せて進行していくこととなります。

以下に、私の経験上、よくある流れを記載しましたが、個々の事情によっては必ずしも以下の展開となるものではないことにはご留意ください。

(1)初回

家事調停委員により、①離婚調停に関して、離婚に至る経緯等について聴取が実施されるとともに、離婚に関する相手の離婚意思の確認が行われます。

また、②婚姻費用調停に関して、双方の収入状況等の確認が行われます。

調停の時間は概ね2時間ですので、①と②の各テーマ全てについて詳細を詰めることは事実上困難となります。

そのため、双方に宿題が出されることが多いと思われます。具体的には、①相手に離婚意思があるのかをよくよく考えること、②双方に対して、基礎収入を基礎付ける資料の提出を求めること、などが考えられます。

とくに、婚姻費用の支払を早期に受けたいと考えている場合には、初回調停時にその旨の意見を調停員に伝えるとともに、遅くとも初回調停時には自身の基礎収入を基礎付ける資料(例:直近の源泉徴収票など)を持参すると、進行がスムーズになるといえるでしょう。

これは、婚姻費用の具体的金額の決め方については、「算定表」が設けられており、夫婦ともに給与所得者であるときには、源泉徴収票などにより基礎収入を認定することで、迅速にその金額が導き出されるからです。

もっとも、自営業などの場合には基礎収入の認定めぐって時間がかかることもあります。

(2)2回目以降

ⅰ 婚姻費用

基礎収入を基礎付ける資料が双方から提出されていて、基礎収入の認定にも労力を要しないときには、「算定表」から、概ねの婚姻費用が導き出されていることが考えられます。

例えば、10歳の子ども1人を養育する母が父に対して婚姻費用を請求する場合(義務者である父の基礎収入600万円:権利者である母の基礎収入400万円。いずれも給与所得者。)、「6~8万円」が婚姻費用の目安である、といった具合です。

こうしたときには、6~8万円のどこかで、調停が成立することが多いといえるでしょう。

もっとも、どちらかが「算定表」から導かれる金額に納得がいかないときには、婚姻費用調停は不成立となり、審判に移行します。

審判とは、裁判官が、当事者双方から聴取した内容、提出資料等種々の資料に基づいて、婚姻費用額について決定する手続となります。

なお、2~3回目までには婚姻費用の具体的金額が議題となっていることが多い印象です。

ⅱ 離婚調停

離婚調停についても双方間で調整を要する事項があれば2回目以降も引き続き調停を重ねていく流れとなります。

何回調停が実施されるかについては、調整を要する事項の多さなどによっても異なることから、一概にはいえません。

もっとも、相手に離婚意思がないような場合には、3回目頃には調停不成立の話がでているものと想定されます。

4 まとめ

以上簡単にではありますが、調停の流れについて説明をしました。

もっとも、調停の当事者が全く同一ということはなく、また、それぞれの事情は様々であることから、その背景事情によっても、流れが異なることが考えられます。

考えることが多く、一人で進めるのが不安だなどの心配事があるときには、弁護士に相談することを勧めています。

著者情報

大澤 一雄

弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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