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貸金業者・サービサーからの「督促が止まる」受任通知の効力:多摩地域の弁護士による解説

2024-08-28
その他

カードによるショッピングやキャッシングを利用している中で、失業等の事情により返済計画がうまくいかず、支払いをすることができなくなってしまう場合があります。このような場合、貸金業者やその委託・債権譲渡を受けたサービサーなどから支払の督促がくることとなります。このような段階にまで至ると、個人の力では借金問題を解決することができず、弁護士に債務整理の相談をされる方がいます。

弁護士が借金問題の依頼を受けたときには、まず貸金業者等に対して、債務整理の「受任通知」を送付することとなります。

ここでは、個人の借金問題を前提として、受任通知について解説します。

目次

1 債務整理とは

債務整理には、主に、①任意整理手続、②自己破産手続及び③個人再生手続があります。

このうち、①任意整理とは、裁判所を利用することなく貸金業者等との任意の話し合いにより将来利息のカットや長期の分割払い(原則として3年内、ただし債権者によっては5年程度の分割に応じる者もありますが、短い期間しか応じない者もあります。)に応じてもらう等の交渉を行うことですが、返済が長期間にわたるため途中で支払に頓挫し破産を選択する例もあります。②自己破産手続とは、裁判所を利用して負債を免れることですが、氏名が官報に掲載される、破産手続開始決定により資格制限が生じる職があるなどのデメリットもあります。③個人再生手続きとは、裁判所を利用して負債総額を圧縮して計画に沿った返済を行うものですが、債務者に安定収入が必要となるなどの利用条件があります。

2 債務整理の受任通知とは

債務整理の「受任通知」とは、債務整理を受任した弁護士が、貸金業者等に対して送付する手紙のことです(弁護士が借金問題に介入することを通知することから「介入通知」と呼ばれることもあります)。

受任通知に記載されている内容は、一般的には、「ⅰ借金を負っている人物の借金問題について弁護士が依頼を受けたこと、ⅱ借金の詳細を教えてほしいこと、ⅲ今後は弁護士に連絡をしてほしいこと、ⅳ(方針が確定しているのであれば)方針」などとなります。

3 弁護士による受任通知の効力とは

(1)督促が止まる

弁護士が受任通知を送付すると、通常、債権者(貸金業者)から債務者に対する借金の督促が止まります。

これは、貸金業法上、弁護士が受任通知を送付すると、貸金業者は債務者に対して直接請求することができなくなり(貸金業法21条1項9号)、これに違反すると、行政上の責任・刑事上の責任が生じる(同法24条の6の4第1項4号ロ、47条の2)ためです。

(2)月々の支払いを一旦止めるのが通常

受任通知送付後は、貸金業者等への支払いを一旦止めるのが通常です。

受任通知送付後に、貸金業者等から送付される取引履歴等を検討することで、上記①~③の方法を確定させることとなります(収支や債務の状況等から決定している場合もあります。)が、仮に任意整理以外の方法を検討しているときには、債権者間の公平を害しないよう、偏頗弁済(特定の債権者だけに返済したり、担保を供する行為)に注意が必要です。

4 受任通知送付の際の留意点

受任通知を送付する場合の留意点としては、例えば、次の事項があります。

(1)信用情報機関へ情報が登録されます

貸金業者等に受任通知が送付されると、信用情報機関に「事故情報」(いわゆる「ブラックリスト」)が登録されます。これにより、登録が抹消されるまで、クレジットカードの新規作成・利用や各種ローン利用等ができなくなります。

もっとも、弁護士に相談した時点では、すでに返済を対応している場合が多く、すでに当該情報が登録されることが多いといえます。

(2)返済を求める裁判などを止める効果はありません

督促を止める効果はありますが、返済を求める裁判や債務名義に基づく給与の差押えなどの債権者による裁判手続の利用までを止めることはできません。

(3)受任通知を契機として連帯保証人に督促がいく可能性があります

受任通知を契機として連帯保証人に督促がいく可能性があるため、債務整理を行うのであれば連帯保証人に事前に伝えることがトラブル回避の観点からはよい場合があります。

(4)銀行口座が利用できなくなる可能性があります

銀行などの金融機関からのカードローンなどについて受任通知を送付すると、該当の金融機関にある口座が利用できなくなる可能性があります。

これは、預金残高と債権とを相殺しようとするためです。

 例えば、問題となる金融機関の口座を、公共料金や電気ガス水道家賃等の引落口座として登録しているときには、その支払方法を変更しておく必要があります。

(5)受任通知の送付=借金問題解決ではないこと

貸金業者等に受任通知を送付すると、弁護士が辞任通知を送付しない限り、債務者個人には督促がいかないこととなります。

そのため、受任通知により督促が止まったことに安心して、弁護士と連絡がつかなくなるなど債務整理の進行に協力してくれない場合があります。

このような場合には、貸金業者等に辞任通知を送付することとなりますが、督促が再開することとなります。

あくまで受任通知の送付はスタートであり、解決ではないことを債務者自身が理解し、解決に協力することが必要です

5 受任通知送付後の業務

方針を確定した後は、その手続に応じた手順を踏むこととなります。

例えば、立川市や八王子氏に住所を有する方が破産手続を利用するときには、東京地方裁判所立川支部宛に破産手続の申立を行うこととなります。

6 借金問題のご相談は早期に

借金の返済に追われるようになると、正常な判断ができなくなります。

弁護士に依頼することで、多くの場合、借金問題を解決することができますので、まずはお気軽にお問い合わせください(お問い合わせ頂く際には、借入先と債務額を整理の上、ご連絡頂けるとスムーズです)。

著者情報

大澤 一雄

弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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