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認知請求(認知調停・認知の訴え)とは

2023-12-18
離婚・男女関係

婚姻をしていない父と母の間に出生した子どもは、血縁上の父との関係では法律上の親子関係が当然には生じません。

例えば、出産後に母が出生届を住所地の市区町村に提出しても、戸籍における父の欄は空欄です。

養育費の請求や、その子どもが将来的に血縁上の父親の遺産を相続するには、法律上の親子関係を生じさせる「認知」が必要となります。

本コラムでは、「認知」について解説いたします。

なお、母子間では出産の事実により当然に親子関係が発生することから(最判昭和37・4・27民集16巻7号1247頁)、「認知」は主に父子間で問題となります。

ここでは、母から父に対して認知請求を行う場合を想定しています。

目次

1認知とは

婚姻をしていない父と母の間に出生した子ども(注1)は、血縁上の父との関係では法律上の親子関係が当然には生じません。

このような場合に、血縁上の父と子どもとの間に法律上の親子関係を生じさせる制度を認知といい、認知請求とは、当該子どもについて、子どもの父に対し、認知するよう求めることです。

認知には、①父が子どもとの法律上の親子関係を任意に認める「任意認知」と②任意認知がない場合に裁判で法律上の親子関係を発生させる「強制認知」があります。

注1婚姻関係にある父母間に出生した子どもを嫡出子といい、婚姻関係にない父母間に出生した子どもを非嫡出子といいます。

2任意認知

任意認知とは、父が子どもとの法律上の親子関係を任意に認めることです。

例えば、当事者間での話し合いにより父が認知を行うことに同意した場合には、該当の市区町村に認知届を提出することとなります。

当事者間での話し合いを通じて父に任意認知を行ってもらうことが望ましいですが、様々な事情によりこれが難しい場合があります。

こうした場合には、弁護士を通じて、裁判外での話し合いを行うことが考えられます。

3強制認知とは

もっとも、裁判外での話し合いによっても任意認知がなされない場合や誠実に対応をしていただけない場合などもあります。

こうした場合には、裁判を通じて認知を求めていくこととなります(強制認知)。

具体的には次のようなプロセスを経ることとなります。

認知調停

認知調停とは、家庭裁判所に対して、認知を求める旨の調停を申し立てるものです。

例えば、父が立川市に居住しているときには、東京家庭裁判所立川支部宛てに認知調停を申し立てることとなります。

調停とは、家事調停委員(男女各1名の合計2名)を通じて、認知に関して父母間で話し合いを行っていく手続です。

調停期日では、家事調停委員が双方から事情を聴きながら手続きを進めます。

具体的には、まず調停員が母側から事情を聴き、次いで母側から聞いた事情をもとに夫側から事情を聴き、順次これを繰り返していくといった具合です。

なお、調停では、できるだけ双方が直接会うことがないように配慮されています。

血縁関係の存否について確認をしたいとの父側からの要望があったときには、DNA鑑定を実施することが多いといえます。

調停での話し合いの結果、認知を行うという合意に至り、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行ったうえで、その合意が正当であると認めれば、合意に従った審判がされることとなります(家事事件手続法277条1項)。

認知の訴え

もっとも、認知調停はあくまで話し合いであることから、話し合いが整わない場合や父が調停に出席しない場合などには、調停は不成立となり、調停を通じての認知が実現できないこととなります。

こうした場合には、家庭裁判所に対して、「子どもが父の子であることを認知する」旨の判決を求めて、認知の訴えを提起し、人事訴訟手続を通じて裁判官に認知の有無を判断してもらうこととなります(民法787条、人事訴訟法2条2号)。

上記(1)の例では、立川市に居住している父に対して東京家庭裁判所立川支部宛てに認知調停を申し立てていましたが、この調停が不成立となったときには東京家庭裁判所立川支部宛てに認知の訴えを提起することとなります。

調停とは異なり、父との間で協議が整わない場合等であっても、子どもの側において「父子間に血縁上の親子関係があること」を立証できれば、判決により、父子間に法律上の親子関係が生じることとなります。

この「父子間に血縁上の親子関係があること」を立証する証拠としてはDNA鑑定が挙げられますが、夫側の協力が得られない場合にはDNA鑑定の実施が難しいことも想定されます。

このような場合にどのような証拠が必要となるのかについては、個別の事情によりますので、弁護士にご相談ください。

調停前置主義

認知調停と認知の訴えとの関係ですが、「調停前置主義」という制度が設けられています。

これは、はじめから認知の訴えという人事訴訟を選択できるのではなく、原則として、まずは話し合いである認知調停を起こさなければならないというものです(家事事件手続法257条1項)。

仮に、認知調停を経ずに認知の訴えを提起した場合には、裁判所の職権で、認知調停に付されることがあります(同条2項)。

そのため、まずは認知調停を行い、調停が不成立となった場合に、認知の訴えを提起する手順となります。

小括

認知調停と認知の訴えの関係を図示すると次のとおりです。

4認知の効果

認知により父と子どもとの間に出生の時点にさかのぼって法律上の親子関係が生じることとなります(民法784条)。

これにより主に次のような効果があります。

養育費の請求

子どもの養育に携わっている母は、父に対して、養育費の支払を求めることができます。

その具体的金額は、「養育費算定表」に基づき、父母の基礎収入に基づき算出されるのが通常です(注2)。

裁判外での話し合いにより養育費を支払ってもらうほか、裁判により養育費の金額を話し合うこともできます。

具体的には、養育費の支払を求める旨の調停を申し立てて、家庭裁判所で話し合いを行うことです。

仮に話し合いが整わない場合には、審判手続に移行し、裁判所が養育費の具体的金額を判断することとなります。

注2算定表は、

こちらより取得できます。

相続

父が死亡したときには、子どもは相続人となるため、その遺産を相続することができることとなります。

5まとめ

以上が、母から父に対して認知請求を行う場合の大まかな解説です。

認知が問題となる場合には、父母間に感情的な対立があるなど当事者間の話し合いにより任意に認知を行ってもらうのが難しいことが多いのではないかと考えられます。

こうした場合には、弁護士を通じて、速やかに認知請求を進めていく必要があるものと思われます。

6弁護士費用

認知請求に関する主な弁護士費用は、以下のとおりです。

〇調停/認知の訴え(共通)

  • 着手金:30万円(税別)
  • 報酬金:30万円(税別)

※1調停から訴訟へと移行するときには追加費用として10万円が必要です。

※2ご事情により増減することがあります。

〇参考

民法

(認知)

第七百七十九条嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

(認知の効力)

第七百八十四条認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。

ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

(認知の訴え)

第七百八十七条子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。

ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。

人事訴訟法

(定義)

第二条この法律において「人事訴訟」とは、次に掲げる訴えその他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え(以下「人事に関する訴え」という。

)に係る訴訟をいう。

一(略)

二嫡出否認の訴え、認知の訴え、認知の無効及び取消しの訴え、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百七十三条の規定により父を定めることを目的とする訴え並びに実親子関係の存否の確認の訴え

三(略)

家事事件手続法

(調停前置主義)

第二百五十七条第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。

2前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。

ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。

3略

(合意に相当する審判の対象及び要件)

第二百七十七条人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。

ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。

一当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。

二当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。

2~4略

執筆者

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弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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