子どものいる夫婦が離婚した場合、母(又は父)と子どもの戸籍は別々となり、子どもの氏と母(又は父)の氏が異なることとなります。
子どもの氏を変更するためには、家庭裁判所から許可をもらった後、該当の市区町村に対して「入籍の届出」を行う必要があります。
子どもが15歳未満である場合には、法定代理人である父母が代理人として許可の申立てを行うこととなります。
ここでは、離婚により父母の共同親権となった場合について、「子の氏の変更許可」について、その許可の申立方法を解説します。
離婚により単独親権となった場合については、こちらの記事をご確認ください。
※共同親権は2026年4月1日に施行される改正民法により導入される制度となります(文中の条文番号は施行後の番号です)。
目次
【主なチェックポイント】
✓「子の氏の変更許可」は、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所で行う必要があります。
✓家庭裁判所から「子の氏の変更許可」が出た後、該当の市役所で入籍の届出を行う必要があります。
✓離婚により父母の共同親権となった場合については、夫婦が協力して氏の変更許可の申立てを行う必要があります
✓ただし、協議による親権の共同行使をすることが難しいときには、「親権行使者の指定の調停又は審判」の利用などが考えられます。
1 子の氏の変更許可の流れ
子の氏の変更許可の申立ては子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に対して行うこととなります。
子どもが15歳未満である場合、法定代理人である父母(共同親権の場合)が共同して、その申立てを行うこととなります。
申立て後、家庭裁判所から許可を得て、該当の市区町村に対して「入籍の届出」を行うことで氏の変更が完了となります。
2 親権を共同して行使することが難しい場合の対応
ポイントとなるのは、共同親権である場合には、父母が共同して申立てを行わなければならない、ということです。
実際には、父母間に感情の対立があるなどして、共同親権を行使するのが難しいことも考えられます。
こうしたときには、他方の協力が得られず、氏の変更はできないのでしょうか?
(1)例外的に親権の単独行使ができる場合
共同親権であるにもかかわらず例外的に親権の単独行使ができる場合として、次のような場合が定められています(民法824条の2第1項)
- 「その一方のみが親権者であるとき」(1号):単独親権の場合であることから、当然といえます。
- 「他の一方が親権を行うことができないとき」(2号):例えば、親権者が親権喪失の審判を受けたなど法律上行使できない場合のほか、行方不明、重病、受刑など事実上できない場合がこれに該当するものと考えられます(「一問一答 令和6年民法等改正」Q32)
- 「子の利益のため急迫の事情があるとき」(3号):例えば、緊急の医療行為を受ける必要がある場合などこれに該当するものと考えられます((「一問一答 令和6年民法等改正」Q35))。
上記①~③のほか、「監護及び教育に関する日常の行為」については単独で親権行使をできると定められていますが(824条第2項)、子どもの氏の変更は「日常の行為」には該当しないものと考えられています(「一問一答 令和6年民法等改正」Q40)
(2)親権行使者の指定の調停又は審判
父母間に協議が整わない場合において、子の利益のために必要があると認めるときには、申立てにより、家庭裁判所は、子の氏の変更など特定の事項について、単独で親権を行使できるものを指定できる、とされています(民法824条の2第3項)。
この制度を利用して、子の氏の変更を行うことのできる親権者指定を求めることが考えられます。
3 その他:離婚訴訟が提起されている場合
例外的な場合となりますが、離婚訴訟で離婚等を争っているなど離婚前に夫婦間で氏の変更に争いがあると予想されるときには、離婚訴訟の付帯処分として「子の氏の変更に係る親権行使者の指定のついての裁判」を求めることも考えられます。
4 費用
共同親権の場合については、置かれている状況により、親権行使者の指定の調停又は審判を行う必要があるなど、対応しなければならない事項が多岐に及ぶ可能性があります。
そこで、費用についてはヒアリング後にお見積もりを提示させて頂く形となります。
5 参考文献
・「一問一答 令和6年民法等改正」(2025年1月 法務省民事局 商事法務)


