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裁判所から訴状(民事訴訟)/調停申立書が届いた場合の対応方法:多摩地域(立川)の弁護士による解説

2024-10-07
一般民事

裁判所から訴状(民事訴訟を想定しています)や調停申立書が届いた場合、どのような対応をすればよいのかあせってしまうのが通常であると考えられます。

ここでは、このような場合の対応方法について、概略を説明致します。

目次

1 訴状が届いた場合

(1)訴状とは

訴状とは、訴えを起こした方(「原告」といいます。)の言い分を記載した書面です。

訴状を裁判所に提出することで民事訴訟が始まり、裁判所における訴状審査を経て、被告に訴状が送達されることとなります。

この訴状が届いた方を「被告」といいますが、訴状には原告が求める請求内容(典型的には、金銭の支払い。)が書かれています。

原告が求める請求内容は「請求の趣旨」欄に端的に記載され(例:被告は原告に対し金200万円を支払え。)、その言い分については「請求の原因」欄に記載されていることとなります。

(2)どのような場合に訴状が届くのか

一般的には民事訴訟が起こされる前に、内容証明郵便等での請求により、裁判外での示談交渉がなされている場合が多いのではないかと思われます。

つまり、裁判外での示談交渉が決裂したため、話し合いでの解決が困難と判断されて、訴え提起により訴状が届くというパターンです。

もっとも、訴えを提起するためには事前の話し合いが必ず必要とは限りませんので、話し合いでの解決が困難と予想される場合などには、事前の予告なしに訴えが起こされて訴状が届くというパターンもあります。

(3)訴状が届いた場合の初動

訴状は、特別送達により被告に送られます。

具体的には、郵便局員が自宅に訴状の入った茶封筒を直接届け、受け取った人のサインが求められます。

例えば、東京地方裁判所からの茶封筒であれば、茶封筒の前面下部に「東京地方裁判所」と記載されており、一見して裁判所からの手紙だと分かります。

そのため、嫌な気持ちがして、開封をしたくないという気持ちがわく方もいると思いますが、開封を先にしたとしても問題が解決するわけではありませんので、直ちに内容物を確認する必要があります。

開封をすると、通常、訴状のほかに、(あれば)証拠説明書及び証拠類(甲〇号証などと付番されているはずです。)が入っているほか、裁判所からの事務的事項を記載した文書入っているはずです。

まずは裁判所からの事務的事項を記載した文書(例:口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状)を確認すると、第1回口頭弁論期日が記載された部分があります。例えば、「期日 令和6年10月8日午後13時10分 場所 ○号法廷」などと記載されています。

この部分の記載により、いつまでに第1回口頭弁論期日への対応をしなければならないかが分かることとなります。

具体的には、答弁書(訴状に記載されている原告の請求を争うのかどうか等被告の認否反論を記載した書面です。)を提出することにより、対応することとなりますが、争うのか、争わない場合であってもどのような解決を希望するのかは個別の事情によって異なります。

そこで、訴状一式を確認した後には、弁護士に依頼するかどうかは別として、直ちに弁護士に対応を相談するのがよいといえるでしょう。

(4)訴状を無視した場合

それでは、訴状が届いたものの、第1回の裁判へも出席をせず、かつ、答弁書も提出しない場合にはどうなるのでしょうか。

この場合には、原告の訴えが正しいものとして、原告勝訴判決が下される可能性が高いといえます。

例えば、原告が被告に200万円を返してほしいという民事訴訟を起こした場合に、訴状に何らの対応をしない場合には、借りた記憶がないなど被告に言い分があったとしても、200万円の支払いを命じる判決が下される可能性が高いのです。

判決が下されると、後日、特別送達により、被告に判決書が送達されます。

この判決に対しては、一定期間、不服を述べることができますが、この期間内に所定の手続をとらないと、判決が確定することとなり、預貯金の差押え等の強制執行手続へと移行することとなります。

そのため、訴状を無視した場合のデメリットが大きいことから、訴状を無視することは避けるべきといえます。

(5)訴状が全て正しい場合

例えば、金200万円の貸金の返還を求める内容の訴えが提起された場合において、その内容が全て正しい場合にはどうしたらよいでしょうか。

この場合であっても、金銭の分割払を求め、裁判上の和解をすることなどが考えられますので、無視をするといったことは得策ではありません。

2 調停申立書が届いた場合

(1)調停申立書とは

調停には、民事調停と家事調停とがありますが、いずれも話し合いにより、紛争を解決しようとするものです。

調停申立書とは、調停を申立てた方(「申立人」といいます。)が、その調停を求める事項を記載した書面です。

調停申立書を裁判所に提出することで調停が始まり、裁判所による審査を経て、相手方に調停申立書が送られることとなります。

この調停申立書が届いた方を「相手方」といいますが、調停申立書には申立人が求める調停事項(典型的には、離婚を求めるなど。)が書かれています。

これらの点は、民事調停・家事調停であっても、同様です。

なお、家事調停の典型的なものとしては、離婚調停や遺産分割調停が挙げられます。

(2)どのような場合に申立書が届くのか

訴状が届く場合と同様に、一般的には調停が起こされる前に、内容証明郵便等での請求により、裁判外での話し合いがなされている場合が多いのではないかと思われます。

つまり、裁判外での話し合いが決裂したため、調停が申立てられるというパターンです。

もっとも、調停申立てには事前の話し合いが必ず必要とは限りませんので、話し合いでの解決が困難と予想される場合などには、事前の予告なしに調停が申し立てられて、調停申立書が届くというパターンもあります。

なお、一定の類型(例:離婚訴訟)については調停前置主義といって、基本的に調停の前置が求められるものもあります。

(3)調停申立書が届いた場合の初動

民事調停の申立書は簡易裁判所から、家事調停の申立書は家庭裁判所から、送られてきます。

訴状同様、まずは裁判所からの事務的事項を記載した文書を見て、第1回調停期日を確認する必要があります。

これにより、いつまでに第1回調停期日への対応をしなければならないかが分かることとなります。

具体的には、答弁書の提出の要否やどのように進めるのかを事前検討することとなります。

また、仮に当日の出席が難しいときには、家庭裁判所の担当者宛に電話を行い、日程変更や当日欠席となる旨を伝える必要があります。

(4)調停申立書を無視した場合

調停申立書を無視し、調停に出席をしない場合には、話し合いの余地がないものとして、調停が不成立として終了となる可能性が高いといえます。

調停が不成立となった場合に、相手方にとって不利となるかどうかは、調停の内容に応じて異なりますので、この点は注意が必要です。

例えば、養育費調停であれば調停が不成立となった場合には審判手続に移行し、相手方が何らの意見も述べないときには、申立人が主張する基礎収入ベースで養育費の支払が命じられる結果、真摯に対応した際に支払うこととなるであろう養育費の金額よりも多くの支払となってしまう可能性があります。

このほか、調停に正当な事由がなく出席をしない場合には、過料が科せられる可能性もあります。

3 支払督促が届いた場合

これらのほか、裁判所から届く書類の中には、「支払督促」というものがあります。

これは、支払督促が届いた方の言い分を聞かずに、申立人の言い分のみを聞いて裁判所書記官が発令するものです。

例えば、「債務者は、債権者に対し、請求の趣旨記載の金額を支払え」などと記載されています。

要は、金銭の支払を命じるものですが、支払督促に対して、異議を述べないまま手続が進行すると、債務名義となって、預貯金等の差押えがされる可能性があります。

こうした支払督促が届く場合には、携帯電話料金の滞納・カードローンの滞納等お心当たりのある場合が多いと思われますので、対応を弁護士に相談することをお勧めしております。

仮に、多額の負債となっているときには、破産手続の利用なども現実的な選択肢となってきます。

著者情報

大澤 一雄

弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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