子どものいる夫婦が離婚した場合、母(又は父)と子どもの戸籍は別々となり、子どもの氏(「うじ」と読みます。名字のことを指しています。)と母(又は父)の氏が異なることとなります。
子どもの氏を変更するためには、家庭裁判所から許可をもらう必要があります。
ここでは、「子の氏の変更許可」について、その概略を解説します。
目次
【主なチェックポイント】
✓「子の氏の変更許可」は、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所で行う必要があります。
✓家庭裁判所から「子の氏の変更許可」が出た後、該当の市役所で入籍の届出を行う必要があります。
1. 子の氏の変更許可が必要となる場合とは
子どものいる夫婦が離婚した場合、母(又は父)と子どもの戸籍は別々となります。
氏(名字)は戸籍に記載されている氏となりますので、子どもの氏(名字)と母(又は父)の氏が異なることとなります。
例えば、佐藤という氏である父の戸籍に母と子どもが入籍している状況下で、父母が離婚して母が親権者として子どもを監護することとなった場合(母は旧姓である鈴木という氏の戸籍を作製したものとします。)、子どもは当然に母と同じ氏となるわけではありません。
つまり、戸籍上子どもは父の戸籍のままであり、その氏は佐藤です。
鈴木という氏の母親のもとで暮らしている以上、佐藤という氏では日常生活上支障が生じることがあります。
こうした状態を変更して、子どもの氏を鈴木にするためには、父の戸籍から母の戸籍へと移ることを許可する旨の家庭裁判所の審判を取得する必要があります。
これを、「子の氏の変更許可」といいます。
なお、母と父の氏がたまたま同じであった場合であっても、法律上は別の氏となります。
そのため、戸籍を同じくするためには、許可が必要となります。
2. 子の氏の変更許可申立の申立人
子の氏の変更許可の申立てを行うことができる申立人は、次のとおりとされています。
- 子どもが15歳未満の場合 法定代理人(例:親権者)
- 子どもが15歳以上の場合 お子様本人
3. 申立先の裁判所
このように「子の氏の変更許可」は家庭裁判所の許可を得る必要がありますが、家庭裁判所であればどの裁判所に申立てを行ってもよいというわけではありません。
「子どもの住所地を管轄する家庭裁判所」に対して、申立てを行う必要があります。
例えば、立川市、国立市、国分寺市、三鷹市、府中市などのいわゆる多摩地域に住んでいるのであれば東京家庭裁判所立川支部宛てに、新宿区、渋谷区等の23区であれば霞が関に所在する東京家庭裁判所宛てに、横浜市であれば横浜家庭裁判所宛てに、申立てを行うこととなります。
4. 申立てに必要な費用や書類
子の氏の変更許可の申立てには、子ども1人につき800円の収入印紙や所定の郵便切手が必要となるほか、子の氏の変更許可の申立書を作成して家庭裁判所に提出をする必要があります。
その際、①申立人(子どの)の戸籍謄本(全部事項証明書)、②父と母の戸籍謄本(全部事項証明書)などが付属資料として必要になります(同じ資料は1通で足ります。)。
具体的な必要資料等については、念のため申立てを行う家庭裁判所に事前に確認をすることをお勧め致します。
5. 家庭裁判所から「子の氏の変更許可」が出た後の手続
家庭裁判所から「子の氏の変更許可」が出たときには、その旨の審判書謄本が交付されます。
その記載内容は、例えば、「申立人の氏「佐藤」を母の氏である「鈴木」に変更することを許可する。」などというものです。
もっとも、許可が出たとしても、当然に裁判所から該当市区町村に連絡がいくものではありませんので、該当の市区町村に、「入籍の届出」を行う必要があります。
その際、審判書謄本のほか、戸籍謄本などの提出が求められますので、事前に市区町村に問い合わせをしておくことがスムーズな手続に繋がります。
6. 子の氏の変更許可の流れ
7. 費用
子ども1人あたり2万2000円(税込)~で「子の氏の変更許可の申立て」を承っております(実費別)。