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被相続人の負債が判明した場合、相続放棄と相続分の放棄のいずれを選択するべきか

2024-12-13
遺言・相続

被相続人に負債があることが判明した場合において、そのプラスの財産よりも負債の方が大きい場合には、相続人としては負債を引き継ぎたくないと考えるのが通常です。

このような場合、相続人が負債を引き継がないためには、相続放棄をすることとなりますが、似たものに「相続分の放棄」というものがあります。

ここでは、これらについて、その概略を解説します。

目次

1 相続放棄と相続分の放棄

相続放棄とは、プラス/マイナスを問わず、すべての権利義務を承継しないことです。

相続分の放棄とは、相続人が自らの相続分(相続分とは、相続財産全体に対する各相続人の取り分です。)を放棄するものです。

2 相続放棄と相続分の放棄の効力

相続放棄により初めから相続人とならなかったことになることから、プラスの財産のみならず、マイナスの財産である負債についても引き継がないこととなります。

他方、相続分の放棄により、相続分の放棄をした相続人は、被相続人の遺産を取得しないこととなりますが、相続人という地位は失わず、相続債務の負担はそのままとなります

そのため、相続債務を引き継ぎたくないときには、相続放棄を選択することとなります。

3 相続放棄の行い方

相続放棄の行い方の詳細はこちらの記事を確認ください

重要な点は、①自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に相続放棄をしなければならないという期間制限があることです。これを熟慮期間といいますが、この期間を徒過すると、原則として相続放棄はできず、相続人は①単純承認をしたものとみなされます(民法921条)。

また、②相続放棄は家庭裁判所での審査を経て受理されるものとなっています。そのため、期間制限がある中、放棄に必要な戸籍類等の準備が必要となるなどタイトなスケジュールとなることもあります。

そのため、できる限り早期に弁護士に依頼することが重要なポイントとなります。

著者情報

大澤 一雄

弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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