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相続放棄についてよくある質問

2024-11-14
遺言・相続

相続放棄を行う場合によくある質問を次のとおりまとめました(相続放棄のやり方に関する一般論について、こちらの記事もご参照ください)。

目次

Q1 相続放棄とは何ですか

相続放棄とは、プラス/マイナスを問わず、すべての権利義務を承継しないことです。これにより初めから相続人とならなかったことになります。

Q2 相続放棄以外に選択肢はありますか

相続が開始した場合おける相続人の選択肢としては、相続放棄のほかに、単純承認や限定承認が考えられます(こちらの記事をご参照ください。)

Q3 相続放棄はどこで行えばよいですか

被相続人の最後の住所地を管轄する「家庭裁判所」で相続放棄の手続を行うこととなります。市役所などの自治体で行うものではありません。

なお、相続放棄の手続は、実際に家庭裁判所に出頭するのではなく、申述書等の必要書類を郵送することで行うことが可能です。

Q4 相続放棄に必要な書類にはどのようなものがありますか

被相続人との関係によって異なります。例えば、子どもが親を被相続人とする相続放棄を行うときには、①被相続人の被相続人の住民票除票又は戸籍附票、②申述人の戸籍謄本及び③被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本などです。

Q5 相続放棄にかかる費用を教えてください

実費として印紙800円分、郵券440円(110円×4枚)のほか、戸籍などの必要書類の取得費用がかかります。

弁護士に依頼されるときには、これらのほか、弁護士費用が発生します。当事務所では、5万円(税抜)~となっています。

Q6 相続放棄を行う上での注意点を教えてください

法律で定める一定の事由に該当するときには、単純承認をしたものとみなされるという法定単純承認という制度に注意する必要があります(民法921条)。

これには、①相続財産の処分(同条1号)、②熟慮期間の徒過(同条2号)及び③限定承認・相続放棄後の背信的行為(同条3号)があります。

Q7 相続放棄を行うにあたっての期間制限はありますか

原則として、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」(民法915条)として期間制限が設けられています。

この期間内に、②限定承認又は③相続放棄をしなかったときには、その相続人は①単純承認をしたものとみなされます(民法921条)。

Q8 被相続人が死亡してから3か月が経過したのですが、相続放棄はできますか

Q5で述べたように、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」(民法915条)として期間制限が設けられています。

被相続人が死亡したことを知ってから3か月以内であれば、その死亡日から3か月を経過していても、相続放棄は可能です。

そのほか、多額の負債があることが発覚したような場合について、お問い合わせ下さい。

Q9 被相続人には負債がありません。長年やりとりがなく、相続放棄を行いたいのですが、できますか

 被相続人に負債があることは相続放棄の条件ではないため、可能です。

Q10 相続放棄のメリット/デメリットを教えてください

メリットとしては、負債を承継しなくてよいこととなることです。他方、デメリットについては、あえて挙げれば手続費用が発生することですが、負債があるときにはデメリットを上回るメリットがあるものと考えられます。

Q11 相続放棄をすれば被相続人の債権者から訴えられることはないという理解でよいですか

相続放棄の申述は、ある種の届出のようなものであり、その有効性自体は後日の裁判に委ねられていますので、訴えられることはあります。

この場合、相続放棄の有効性は、訴えを起こされた裁判所で判断されることとなります(こちらの記事もご確認ください

Q12 共同相続人が相続放棄をしたかどうかを確認する方法はありますか

家庭裁判所に対して書面による照会を求めることで確認することができます。また、誰でも確認できるのではなく、利害関係が必要です。

Q13 相続人全員が相続放棄をするとどうなりますか

相続財産は、最終的には、国庫に帰属することとなります。

Q14 弁護士に依頼しなくても相続放棄ができますか

相続放棄手続には、民事訴訟におけるように、対立当事者がいるわけではありません。そのため、戸籍などの必要書類を期間内に収集することなどが可能と判断できる方であれば、弁護士に依頼することなく、相続放棄をすることも可能であると考えています。

もっとも、相続放棄の手続を上手く行うことができないまま、期間を徒過したときには、相続放棄ができなくなってしまいます。こうした不利益を被らないために、弁護士に依頼することをお勧めしています。

著者情報

大澤 一雄

弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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