親、兄弟姉妹、叔母叔父(代襲相続が発生しているような場合)などの親族が逝去した後、突然、債権者から親等の負債について支払うよう内容証明郵便が届くことがあります。
思いがけない連絡に慌ててしまい、どのような対応をすればよいのか混乱してしまうのが通常ではないかと思います。
このような場合に考えられる対応について、概略を解説します。
目次
1 亡くなった親族について負債があることを相続人が知らないことがあるのか
様々なパターンがありますが、例えば、定期的に連絡を取り合うような関係であっても、負債については明らかにしていないことも考えられることから、連絡があってはじめて相続人が負債を認識した、ということも考えられます。
また、そもそも親族とは疎遠になっており、何年・何十年と連絡を取っていなかったところ、債権者から連絡が届き、死亡の事実と負債があったことを同時に知った、ということも考えられます。
これらの場合には、亡くなった親族について負債があることを相続人が知らないこととなります。
2 亡くなった親族について死亡時に負債がないにもかかわらず、債権者から連絡があることがあるのか
死亡した親族が死亡時に負債を有していなくとも、その資産からマイナス面が生じたような場合には、債権者から連絡が来ることも考えられます。
例えば、マンションの一室を所有したまま死亡したような場合において、連絡をとっていた親族がいないようなときです。
具体的には、月々発生するマンション管理費や修繕積立金等の支払が滞納してしまい、マンション管理組合から督促が来るような場合です。
3 債権者から連絡があったときの対応例
主に次のような対応が考えられます(そのほかに限定承認も考えられますが、ここでは省略しています。)。
(1)相続をする
プラスの財産を考慮して、負債を引き継ぎ、負債の支払をすることが考えられます。
もっとも、他に負債がないかどうかの考慮のほか、他に相続人がいるときに、相続手続が円滑に進むかどうかの検討が必要です。
とくに、被相続人と疎遠である一方で、被相続人と日常的なやりとりがある共同相続人がいるようなときには、円滑に進むかどうかについて注意が必要です。
(2)相続放棄をする
負債を引き継ぎたくない場合には、相続放棄をすることが考えられます。
この相続放棄は所定の期間にしなければなりません(こちらの記事もご確認ください)。
相続放棄をしたときには、債権者に相続放棄をする旨を連絡し、相続放棄が受理された後で、その旨を連絡するのが通常です。
なお、相続放棄の有効性について債権者に不服がある場合には、後日、訴訟手続においてその有効性が争われることもあります。
4 まとめ
債権者からの連絡が来ているような場合には、弁護士が代理人として選任されていることも想定されます。
こうした中で、どのような対応を行うかを決定しなければならず、仮に相続放棄を行うときには、期間制限があるなど、速やかに手続を進めていかなければならないこととなります。
そのため、ご自身で対応するのではなく、弁護士に依頼されることを勧めています。