「行方知れず」や災害等により「生死不明」になっている方がいる場合、何も対応しないと戸籍上は生存していることとなります。
仮に生死不明になっている方を相続人とする相続が開始すると、その方の署名等が得られないことから相続手続は進まないことになります。
こうした場面に対応する制度として「失踪宣告」があります。
失踪宣告について解説します。
目次
1 失踪宣告とは
失踪宣告とは、生死不明の者に対して、法律上死亡したものとみなす制度です。
似たものに「認定死亡」というものがあります。
これは、死亡の可能性が高いときに失踪宣告を待たずに直ちに死亡とするものですが、戸籍を取得することで確認できます。
2 失踪宣告には2種類ある
失踪宣告には、生死が7年間明らかでないときに認められる「普通失踪」と戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇し危難が去った後生死が1年間明らかでないときに認められる「特別失踪」とがあります。
必要となる生死不明の期間が異なります。
3 失踪宣告は誰が行うのか
失踪宣告は家庭裁判所が申立てにより失踪宣告の審判をすることとなりますが、申立てをすることができるのは法律上の利害関係を有する者に限られます。
例えば、行方不明となっている方の相続人です。
4 失踪宣告はどこの家庭裁判所で行うのか
行方不明となっている方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。
例えば、23区であれば東京家庭裁判所、立川市・八王子市・国分寺市・三鷹市などでは東京家庭裁判所立川支部、横浜市であれば横浜家庭裁判所です。
最後の住所地については、例えば住民票が除かれていればその除票を取得することで確認できます。
5 失踪宣告の申立てに必要な書類は何か
申立てに必要な書類は、事情により異なりますが、概ね次のような書類が必要となります。
- 申立人の利害関係を証明する資料:相続関係を証するものとして戸籍謄本
- 行方不明となっている方の戸籍謄本・戸籍附票
- 失踪を証する書類:不在者の捜索願受理証明書、返戻された不在者宛ての手紙、関係者の陳述書、住民票(除票)、災害等については新聞記事など
これらのうち、「失踪を証する書類」については事情によって様々であることが考えられます(とくに住民票については状況によっては除かれていないこともあります)。
6 失踪宣告の流れ
失踪宣告申立てに必要な書類を収集し、管轄の家庭裁判所に申立てを行ったあとは、概ね次のように進みます。
(1)申立て内容の審査
書面審査が中心となりますが、審査結果によっては追加の対応が必要となります。
(2)公示催告
審査が完了したのち、3か月の公示催告(生存すれば連絡するようにという公示です)期間があります。
(3)審判
公示催告にもかかわらず生存の確認がとれないときは、それまでの結果を踏まえた審判が下ります。
7 審判後の流れ
審判後一定期間経過後に失踪宣告の審判が確定します。
確定後、該当の自治体で手続をすることで戸籍上死亡の事実が記載されます。
8 よくある質問
Q1 どれくらいの期間がかかりますか
事案によって異なるため一概にはいえないのですが、家庭裁判所への申立てから6ヶ月程度、戸籍への反映にさらに1か月程度は見込んでおいた方がよいです。
Q2 行方不明者とは付き合いがなく、行方不明の詳しい事情が分かりませんが、失踪宣告の申立ては可能でしょうか。
まずは住民票の状況(除かれているか)を確認することで調査を進めますが、申立ての可能性はあります。
Q3 失踪宣告の審判後生存していることが判明した場合どうなるのですか
失踪宣告の取消しを求める申立てを行うことで失踪宣告が取り消されます。
10 費用
手数料として22万円(税込)+実費です。



