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自筆遺言書の検認手続とは:検認手続の流れやよくある質問

2026-03-24
遺言・相続

自筆証書遺言(故人が手書きで作成した遺言です。)を保管している場合や自宅などで自筆証書遺言を発見したときには、家庭裁判所での検認という手続を経る必要があります。

この検認とはどのような手続でしょうか。

検認についてよくある質問と併せて解説します。

目次

1 検認とは

検認とは、次の二つの事項を目的とする手続です。

  • 相続人に対し自筆証書遺言の存在及びその内容を知らせること:検認の実施にあたっては、家庭裁判所から相続人に対して検認期日を実施する旨の連絡がなされます
  • 遺言書の形状、加除・訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止すること

このように言うと難しいのですが、家庭裁判所において、関係者立会いの下、遺言書の形状等を確認することを検認といいます。

2 検認が必要な遺言書とは

検認が必要な遺言書とは、「自筆証書遺言」です。

もっとも、「自筆証書遺言」であっても、法務局で保管されている場合には検認は不要です。

また、公正証書遺言についても検認は不要です。

3 検認の申立てをできるのは誰か

  申立てをできるのは、①遺言書を発見した相続人と②遺言書の保管者(例:生前に遺言書の保管を依頼された弁護士等の専門職)です。

そのため、相続人が自筆証書遺言書を発見した場合には、遅滞なく検認の申立てをする必要があります(民法1004条)。

4 検認申立てに必要な書類は何か

申立てに必要な書類は、相続人の組み合わせ(相続人が第何順位の相続人であるかにより異なります。)により異なりますが、共通して必要になる書類は次のとおりです。

  • 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(相続人であれば自治体で出生から死亡までのすべての戸籍がほしいと請求すれば一つの自治体で取得できます)
  • 相続人全員の戸籍謄本

5 どこの家庭裁判所に検認申立てをするのか

遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

例えば、23区であれば東京家庭裁判所、立川市・八王子市・国分寺市・三鷹市などでは東京家庭裁判所立川支部、横浜市であれば横浜家庭裁判所です。

6 検認手続の流れ

検認申立てに必要な書類を収集し、管轄の家庭裁判所に検認申立てを行ったあとは、概ね次のように進みます。

(1)検認期日の調整

裁判所に提出をした書類に不備がなければ、検認を行う日(検認期日)の調整が行われます。

通常、裁判所から電話がありますので、出席可能な日にちで調整することとなります。

当日持参するものとして、遺言書原本、印鑑などがあります。

(2)相続人に対する検認期日の通知

検認期日が決まると、各相続人に対し,裁判所から検認期日の通知が行われます。

検認期日は、その期日を通知された全員がそろわなくとも実施されます(ただし、申立人が出席をしないと遺言書原本の確認ができないことから最低限申立人又はその代理人弁護士の出席が必要です)。

(3)検認期日の実施

検認期日では、検認の申立人が自筆証書遺言の原本を裁判所に提出し、出席をした相続人等の立会いの下、裁判官が検認します(封のある遺言書については、裁判官が開封をします。)。

7 検認後の流れ

検認は検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するものですので、検認をしても遺言書の内容が当然に実現するものではありません。

実際に不動産の名義を変更する/預貯金を引き出す等遺言の執行をする必要があります。

この遺言の執行には、「検認済証明書」が遺言書に付いていることが必要ですので、検認手続が終わった後に、家庭裁判所に検認済証明書の申請をすることで、同証明書を取得する必要があります。

遺言の内容を実現するために行動する者は「遺言執行者」と呼ばれますが、遺言書で指定されている場合にはその方が遺言の執行を行うこととなります。

他方、遺言執行者の指定がない又は指定があったものの辞退した場合等には、家庭裁判所に対して、遺言執行者の選任を求めることで、手続を進めていくこととなります。

8 弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリットとしては、煩雑な必要書類の収集を行わなくてよいことのほか、顔を合わせたくない相続人と検認期日で顔を合わせなくてよいことが挙げられます。

9 よくある質問

Q1 検認の対象となる遺言書が複数あるのですが、すべて検認をする必要がありますか

すべて検認をする必要があります。

一度の申立てですべての遺言書についての検認の申立てをすれば1回の検認期日で検認が終了します。

他方で、検認実施後に、新たに遺言書が見つかったときには、再度検認申立てをする必要があります。

Q2 自筆証書遺言が手元にありますが、いつまでに検認をすればよいのでしょうか

具体的に何日以内という定めはありませんが、遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、「遅滞なく」遺言書を家庭裁判所に提出して,検認の申立てをしなければならないとされています(民法1004条)。

Q3 検認はどこの家庭裁判所ですればよいですか

遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。最後の住所については該当の市区町村から住民票の除票を取得することで確認してください。

Q4 封印された遺言書が見つかりましたが、開封してもよいですか

封印された遺言書を家庭裁判所以外で開封した者は、「5万円以下の過料」とされていますので、開封はできません。

Q5 検認は相続人全員が家庭裁判所にそろわないと実施できませんか

検認の申立てがあった後、裁判所から相続人に対して検認期日の通知が行われます。もっとも、申立てを行った相続人以外の相続人が出席をするかは各人の自由ですので、全員がそろわなくても検認手続は実施されます。たとえば、健康状態から裁判所に来るのが困難な相続人がいる場合であっても、検認はなされます。

Q6 他の相続人と顔を合わせたくないので検認期日に出席をしなくてもよいですか

検認の申立人であるときには、遺言書の原本を検認期日に持参しなければならないことから、出席が必要です。もっとも、弁護士に依頼しているときには、弁護士が代わりに出席をすることで、申立人本人が出席をしなくてよい場合があります。

検認の申立人でない場合には、出席は必須ではありません。欠席の場合には、後日、家庭裁判所から検認調書を取得するなどして、遺言の内容を確認することができます。

Q7 検認を受ければ遺言は法的に有効となりますか

検認とは、後日の偽造、変造を防止し、その保存を確実にするために、その形式や形状などを調査確認するために行われるものであって、遺言書が有効であるか無効であるかを決める手続ではありません。

遺言書が無効であることを確認したい場合には、遺言無効確認訴訟を地方裁判所に起こすなどして、遺言書の有効/無効を確定する必要があります。

Q8 弁護士に依頼せずに自分でもできますか

検認申立書の書式なども家庭裁判所のHPで公開されていますので、自分でもできます。弁護士に依頼した場合には、戸籍等の必要書類の収集のほか、関係のよくない相続人と直接顔合わせをしなくてよくなる等のメリットがあります。

Q9 法務局に照会をしたところ、法務局において自筆証書遺言を保管していることが分かりました。この遺言について検認をする必要がありますか。

ありません。

Q10 検認の申立てから検認が終わるまでどの位の時間がかかりますか

家庭裁判所における繁忙状況にもよりますが、申立てから1~2か月程度が多いです。

Q11 遺言の内容はどのようにして実現されますか

遺言執行者によって実現されます。遺言で遺言執行者が指定されていない場合などには遺言執行者の選任を家庭鯖韻書に求める必要があります。

Q12 遺言書の有効・無効によってその後の手続にどのような影響がありますか

遺言書の内容次第であることから一概には言えませんが、概ね次のようなことがいえます。

有効であれば遺言執行者によって遺言の内容を実現することとなり、遺言が遺留分を侵害しているときには、遺留分侵害額請求の話となります。

無効であれば遺産の分け方(遺産分割)の話となります。

10 費用

検認については6万6000円(税込)+実費です。

検認期日への出席が必要であることから、東京家庭裁判所立川支部以外の裁判所の場合には日当2万2000円が必要となります(立川支部の場合は不要です。)が、(片道2時間を超える)遠方の場合には4万4000円となります。

著者情報

大澤 一雄

弁護士
大澤 一雄

上智大学法科大学院卒業後、司法修習修了。

2022年に大澤法律事務所開設。

趣味は水泳。

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